2. 植物標本をつくる目的

1 植物の名前を調べる(固定する)

植物の名前を調べたいとき、図鑑などの写真や記述だけではよく分からないことが時々あります。
このようなとき、実物の標本があれば大きさを測ったり、ルーペや顕微鏡で細かい形質を観察することができます。
また、標本館に納められている標本と並べて比較することで、さらに正確に名前を調べることもできます。

2 植物の特徴や差異を調べる

人間は一人一人顔かたちが異なるように、同じ種類の植物であっても地域や個体によって形が異なります。
様々な地域で採集された植物を標本にして標本館に収蔵しておけば、その種にどのような形態的変異があるのかを、現地に赴くことなく容易に調べることができます。
また、標本の作製・保存条件が良ければ、標本からDNAを抽出・分析して、植物の系統関係や由来を調べることもできます。
人間は一人一人顔かたちが異なるように、同じ種類の植物であっても地域や個体によって形が異なります。
様々な地域で採集された植物を標本にして標本館に収蔵しておけば、その種にどのような形態的変異があるのかを、現地に赴くことなく容易に調べることができます。
また、標本の作製・保存条件が良ければ、標本からDNAを抽出・分析して、植物の系統関係や由来を調べることもできます。

3 植物の季節的な変化を知る

植物は季節の移り変わりに伴って、常に変化し続けています。
例えば、同じ樹から様々な季節に枝を採集し、標本にして残しておけば、その樹がいつ頃花を咲かせて実を着けるかを知ることができます。
さらに、このような標本が様々な地域で何年にもわたって蓄積されれば、植物季節の年変化や地域間の違いを知ることもできます。

4 地域の自然環境とその変化を調べる

地域の自然環境を知る上で、植物はとても重要な指標となります。
また、植生の遷移や気候変動、人間活動などによって、地域の自然環境は移り変わっていきます。
そのような自然環境の変化と共に、特定の生物種が絶滅したり、外来種のように外から新たな種が入ってくることもあります。
標本はその生物がその時その場所に生きていた事の証となり、その地域の自然環境の歴史的な変化を知る手がかりにもなるでしょう。

5 命名のための基準標本

新種を発表する際には、その種の形態的な特徴を文章で記述するとともに、基準となる標本(タイプ標本)を指定して標本館で保存することが国際的な規約で定められています。
研究の進展に伴って分類に疑問が生じた時などは、必ずタイプ標本を調べなければなりません。
タイプ標本は生物分類学においては最も重要な標本として、標本館で厳重に保管されています。

6 調査・研究の証拠として

自然科学の分野では、客観的な「証拠」に基づいて研究が行われていますが、研究材料として使った生物の名称は分類基準の違いや同定ミスなどの可能性がありますので、必ずしも正しいとは限りません。
最近では研究成果を学術論文などで発表する際、用いた植物を「証拠標本」として公共の標本館に保存しておくことが常識となっています。
そうすれば後に研究材料に疑問が生じた場合、誰でも標本を再確認することが出来るからです。

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