1. はじめに

植物を標本にして保存する場合、最も一般的なのが押し葉(さく葉)標本にすることです(他にアルコール等に漬けた液浸標本やプレパラート・木材・種子の標本もあります)。
押し葉標本にすると植物の立体的な形は失われてしまいますが、取り扱いや整理が容易で、保管スペースも節約できます。
大量の植物標本を整理・保管している施設は「植物標本館(標本庫)」と呼ばれ、日本国内だけでも60以上の大学や博物館・植物園などに設置されています。
例えば東京都立大学・牧野標本館には50万枚を越える植物標本が収蔵され、中には200年以上も前に採集・作製された植物標本もあります。
植物標本はそのままの状態ではカビが生えたり虫に食べられてしまいます。
しかし、標本館に収蔵して適切に管理すれば、永久に保存することができます。
このようにして蓄積された植物標本は、様々な目的で活用されています。

1820年代に作製された植物標本 1820年代に作製された植物標本

1820年代に作製された植物標本。
ドイツ人医師・博物学者のシーボルトの手によって作製されました。日本人に押し葉標本の作製方法を伝えたのがシーボルトです。
(東京都立大学 牧野標本館 所蔵)

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